今回は、海外FXで法人口座を開設するメリットデメリットと法人口座でおすすめの海外FX業者について解説します。
海外FXでの法人化と法人口座開設の関係性
基本的に
FXトレードを生業にしている個人の方が、会社を設立して、会社としてFXトレードをすることを「法人化」「FX法人化」と呼びます。
会社としてFXトレードをするとなると、お金のやり取りも、個人のものではなく、法人のもので行うことになります。
- 銀行口座 → 法人口座
- クレジットカード → 法人カード
- デビットカード → 法人デビットカード
- FX口座 → 法人口座
これは、国内のFX業者であっても、海外FX業者であっても、同じ事です。
海外FX業者でトレードしている個人が、会社設立をして、法人で海外FXをする場合、海外FX業者の法人口座を開設する必要があるということになります。
海外FXで法人化するメリット
1.税金が安くなる
海外FXで法人化する最大のメリットは
税金の安さ
です。
というのも、海外FXは、国内FXと違って、税金面での優遇がなく、雑所得として高額な所得税が発生しているからです。
個人の場合の海外FXの所得税・住民税
- 所得税:5%~45%
- 復興特別所得税:所得税の2.1%
- 住民税:10%+均等割
所得税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税は、総合課税なので、給与所得や事業所得などの所得と合算した所得金額に上記の所得税率が適用されます。
法人の場合の海外FXの法人税
法人税(資本金:1億円以下)
- 800万円超:23.2%
- 800万円以下:15.0%
法人事業税(東京)
- 400万円以下:3.4%
- 400万円超800万円以下:5.1%
- 800万円超:6.7%
法人住民税(東京23区)
- 都民税法人税割(法人税額×住民税率) + 都民税均等割(7万円~)
ややこしい計算にはなりますが「実効税率」をみればだいたいどのくらいの税率なのかがわかります。
法定実効税率とは
法定実効税率:30.62%
つまり、全部合わせて、だいたい3割ぐらいということになります。
個人の場合は、給与所得なども含めて所得が800万円を超えると、所得税率33%+住民税10%で43%の税金が取られてしまうので、法人の30%の方が税金が安くなる計算になります。
会社設立のコスト、会社の運営コスト、控除などを考えれば
- 課税所得が800万円を超える方 → 法人化のメリットがあるかも、要検討
- 課税所得が1,800万円を超える方 → 法人化のメリットがある
と言えます。
2.損失を繰り越せる
法人にしてしまえば、損失は9年繰り越すことが可能です。
- 法人口座:損失繰越9年
- 国内FX個人口座:損失繰越3年
- 海外FX個人口座:損失繰越はできない
とくに海外FXでトレードしている方にとっては、損失繰越ができないのが大きな課題となっています。
しかし、法人で青色申告の場合、欠損金(赤字)が生じた年(事業年度)の翌年度以降、欠損金を繰り越すことができます。(欠損金の繰越控除)
繰り越すことができる期間は、事業年度で生じた欠損金は9年間になります。
3.必要経費の幅が広がる
個人でも、法人でも、事業の目的に応じて発生した費用は、経費(損金)として計上して、所得(利益)から差し引くことができます。当然、所得(利益)が減れば、その分、税金も安くなるのです。
個人と法人の違いは
- 個人:所得を得るために使ったお金が経費
- 法人:事業を遂行するときに使ったお金が経費
ということになります。
法人であれば、すべての事業活動のために支出されたものが全部経費として計上できるのです。
例:車
- 個人:経費にはできない
- 法人:社用車として経費にできる(FXのセミナーに行くなどで利用)
例:住宅
- 個人:利用した分の家賃を経費にできる
- 法人:役員用の社宅として経費にできる
例:妻(夫)に給料を支払う
- 個人:家族に給料を支払うことはできない
- 法人:家族への給料が経費にできる
海外FXで法人化するデメリット
1.コストがかかる
会社を設立すると必要になるのは、最低でも
- 設立時のコスト
- 決算などの税理士・会計士へ支払うコスト
- 法人税
です。
必要によって
- 会社のウェブサイトの作成
- 会計ツールなどの運営ツールのコスト
- 法人カードの年会費
等が発生します。
また、法人住民税など、利益が出なくても支払わなければならない税金があることにも注意が必要です。
2.利益が少なければ、税率は高くなる
前述したように
- 法定実効税率:30.62%
です。
海外FXの所得税は、他の給与所得なども含めて、 3,299,000円以下であれば、税率も10%以下となります。
こうなると、住民税の10%を加えても、法人税の方が高くなってしまうのです。
つまり、利益が低いと、法人化して、税金も高くなってしまうのです。
目安としては、安定してFXでの利益が700万円を超えるようであれば、法人化での税金のメリットが出てくるのです。
3.利益を自由に使うことができない
個人の方であれば
利益でプライベートの旅行に行ったとしても、全く問題はありません。
しかし、
法人の場合は
会社の利益で、プライベートの旅行に行ったら、脱税になってしまいます。経費としては認められないのです。
法人の資金は、法人の事業の目的にしか利用することはできず、プライベートなお金は、もらった役員報酬の中から、捻出しなければなりません。
4.法人口座が使える海外FX業者は限られる
すべての海外FX業者で、日本の法人が法人口座を開設できるわけではありません。
法人口座がない海外FX業者もあるのです。
「海外FXで法人口座を開設するメリットデメリットを教えてください。」